誘導結合プラズマ質量分析装置 (ICP-MS)

ICP-MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)

■概要

ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)は、液体の試料をイオン化し、イオン化された元素を検出することで、試料に含まれる微量元素を調べることが可能です。
元素の種類や試料の状態等によって分析可能な濃度範囲は異なりますが、おおよそppm100万分の1)からppt1兆分の1)までの元素濃度の測定が可能です。

 

■原理


ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)は、高温のアルゴンプラズマを生成し、そこに噴霧した液体試料を導入することで試料中の元素をイオン化します。MSではイオン化された元素を質量電荷比ごとに分離し、イオン強度として検出することで、試料に含まれる元素の定性・定量分析が可能です。

                           分析可能元素

                                    青で示した元素は分析可能 (元素によっては要相談)
                        白で示した元素は分析不可

■分析依頼の例


・作業環境測定における金属分析
   ろ紙に捕集した試料を酸で溶出し、その溶出液を分析することで試料に含まれる金属元素を定量する。
・実験水の分析
   お客様が様々な条件で作製した水溶液を分析し、目的の元素を定量する。
・異物(固形物)の分析
   異物を水や酸などで溶出・溶解し、その液を分析することで異物中の元素を定性・定量する。

  

■注意事項


ICP-MSは液体状の試料を分析する装置ですが、固体の試料でも前処理(水に溶出・溶解又は酸分解など)によって溶液化することができれば、ICP-MSによる分析が可能となります。
・分析に必要な試料量は液体であれば50 ml程度です。
・液体状の試料でも強アルカリ溶液や有機溶媒、汚濁水などの場合、前処理が必要又は分析できないこともあります。

  

~分析例~ ミネラルウォーターに含まれる微量成分の分析


コンビニなどで販売されているミネラルウォーターは、見た目では違いが分かりにくいものの、実際には含まれるミネラル成分に大きな違いがあります。これらの違いを明確にするために有効なのが、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)での分析です。
実際に、写真に示した2種類のミネラルウォーター(AおよびB)をICP-MSで分析したところ、ナトリウム(Na)とカリウム(K)の濃度はほぼ同じでしたが、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)Aに多く含まれていることが確認されました。 特にバナジウム(V)は、ミネラルウォーターAが「バナジウム含有」をうたっていることが分析結果から裏付けられました。

 

 

  

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